ロシア語メルマガ まえ・あとがき 第十七回
巻┃頭┃言┃
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●いま、通勤時に電車では『平家物語』(高橋貞一校注)を読んでいます。
ぼくは日本では「能狂い」を自任するほど「お能」好きです。
仕事をしながら一週間で五公演をこなしたこともありました。
(さすがに気を失いかけましたが)
今度日本に帰ったら見たいものがたくさんあります。
能楽にはいろいろなお話がありますが、なかでもぼくの好きな
「修羅能」の題材はほとんどが『平家物語』に採られているのです。
『平家物語』が詳しくわかればそれだけ楽しめるってことです。
受験は漢文でしたので「古文」はまったくまじめにやりませんでした。
で、そんな訳で日本の古典文学には近寄りがたかったんですが、
読んでみると平曲独特の語り口に引き込まれます。
こんな面白いものがあったのかって半分興奮気味です。
いま第十巻ですが、平家の公達が次々と討たれていく場面。
さすが軍記物と呼ばれるだけあって戦闘場面の迫力もすさまじい。
そして運命に翻弄される者の悲哀。滅びの美学があります。
そう、諸行無常って、言い換えると己の運命の自覚です。
結果はおんなじだから努力しない、ではなく
むしろ、だからこそ精一杯生きる、ってコペルニクスもびっくりの
すごいメッセージなんです。
あ┃と┃が┃き┃
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●木下順二氏の戯曲『子午線の祀り』をご覧になった方もいるのではないか
と思いますが、ぼくも木下氏と同様、最後の主人公とも言うべき
平知盛(とももり)が一番すきです。
(最近の『子午線~』の舞台では狂言師の野村万斎氏が演じている)
お能「船弁慶」では、幽霊として祟りに出てくるところが、
まったく知盛像に似つかわしくないのですが、物語の中では
最後の最後で平家を支え、あまつさえ立て直しかけ、
そして一気に破滅していくこの人物の姿は運命に抗う人間の悲壮感に
満ちていてすごく感動させられるのですね。
『子午線の祀り』の観劇もですが、原作もぜひご一読あれ。
そうそう、東京近郊にお住まいの方は初台の新国立劇場内の
視聴覚ブースに膨大な映像資料があるので、そこで無料で見れます。
(オペラ・バレエもあります。過去の公演もほとんどが視聴可)
では、またお会いしましょう。
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